Yii は PHP 5 の例外メカニズムを元にした完全なエラーハンドリングを提供します。 アプリケーションがユーザのリクエストによって呼び出された時、アプリケーションは、handleError メソッドを PHP の warning と notice を扱うために登録し、handleException メソッドを PHP の exeption (例外) を扱うために登録します。 したがって、もしアプリケーションの実行時に PHP の warning や notice、キャッチされない例外が発生した場合は、どちらかのエラーハンドラが制御を握って、必要なエラーハンドリングの処理を開始します。
ヒント: エラーハンドラは、アプリケーションのコンストラクタで PHP 関数である set_exception_handler と set_error_handler によって登録されます。 もし不要な場合は、エントリスクリプト で
YII_ENABLE_ERROR_HANDLER
とYII_ENABLE_EXCEPTION_HANDLER
の定数を false として定義する事で対応できます。
デフォルトでは、handleError (または handleException) は onError イベント (または onException イベント) を発生させます。 もしエラー (あるいは例外) がイベントハンドラによって処理されなかった場合は、エラーイベント (または例外イベント) は、errorHandler アプリケーションコンポーネントに助けを求めます。
Yii において例外を発生させる仕方は、通常の PHP の例外を発生させる方法と異りません。 以下の文法を例外を発生させるために使用できます:
throw new ExceptionClass('ExceptionMessage');
Yii は三つの例外クラスを定義しています。 CException, CDbException, そして CHttpException です。 CException は包括的な例外クラスです。 CDbException はデータベースに関係する何らかの操作によって引き起こされた例外を表します。 CHttpException はエンドユーザに表示されるべき例外を表すもので、HTTP ステータスコードを表す statusCode プロパティを持ちます。 例外をどのように表示すべきかは、以下で説明するように、例外のクラスによって決ります。
ヒント: CHttpException 例外を発生させることは、ユーザの操作ミスによって生じたエラーを報告するシンプルな方法です。 例えば、もしユーザが無効な post ID の URL を要求した場合は、以下のような単純な方法で 404 error (page not found) を表示する事が出来ます:
// もし要求された post ID が無効な場合
throw new CHttpException(404,'指定された記事が見つかりません。');
エラーの処理が CErrorHandler アプリケーションコンポーネントまで流れてくると、エラーを表示するために相応しいビューが選ばれます。
エラーが CHttpException のように、エンドユーザへ表示すべきタイプのものだった場合、errorXXX
という名前のビューが使用されます。
この XXX
の部分は HTTP ステータスコード (例えば 400, 404, 500など) を表します。
エラーが内部的なもので、開発者にのみ表示するべきものであった場合は、exeptions
という名前のビューが使用されます。
その場合は、完全なコールスタックとともにエラー行の情報が表示されます。
情報: アプリケーションが 実運用モード で実行された時、内部的なエラーを含む全てのエラーは
errorXXX
というビューを使用して表示されます。 これは、エラーのコールスタックが機密に関わる情報を含む可能性があるためです。 この場合は、開発者はエラーの真の原因を究明するために、エラーログに頼らなければなりません。
CErrorHandler は下記の順序で対応するビューファイルを探します:
WebRoot/themes/ThemeName/views/system
: 現在アクティブになっているテーマの中の system
ビューディレクトリ
WebRoot/protected/views/system
: アプリケーションのデフォルトの system
ビューディレクトリ
yii/framework/views
: Yii フレームワークによって供給される標準のシステムビューディレクトリ
したがって、もしエラーの表示をカスタマイズしたい場合は、アプリケーションかテーマのシステムビューディレクトリーにエラービューファイルを作成する事で容易に実現可能です。
それぞれのビューファイルは、大部分が HTML コードで成り立った通常の PHP スクリプトです。
詳細は framework の view
ディレクトリにあるデフォルトのビューファイルを参考にして下さい。
Yii では コントローラアクション を用いてエラー表示をすることが出来ます。 これを行うために、アプリケーション構成ファイル中のエラーハンドラを以下のように構成します。
return array(
......
'components'=>array(
'errorHandler'=>array(
'errorAction'=>'site/error',
),
),
);
上記において、CErrorHandler::errorAction プロパティは site/error
を示すようにします。
これは SiteController
コントローラの error
アクションを意味します。
もし違う名前のコントローラ/アクションを使いたい場合はそれを用いても構いません。
error
アクションは以下のように記述されます。
public function actionError()
{
if($error=Yii::app()->errorHandler->error)
$this->render('error', $error);
}
このアクションにおいて、最初に詳細なエラー情報を CErrorHandler::error から入手します。
もしこれが空でない場合は、このエラー情報にもとづいて error
ビューを表示します。
CErrorHandler::error で返されるエラー情報は以下のフィールドを持つ配列です。
code
: HTTPステータスコード (例: 403, 500)type
: エラータイプ (例: CHttpException, PHP Error
)message
: エラーメッセージfile
: エラーの起きたPHPスクリプトファイル名line
: エラーの起きた行番号trace
: エラーのコールスタックsource
: エラーの起きたソースコードヒント: CErrorHandler::error が空であるかないかをチェックする理由は、
error
アクションは、エラーが無い場合でもエンドユーザによって要求されることがあるためです。$error
という配列をビューに渡しているため、フィールドが自動的に個々の変数に展開されます。 従って、ビューにおいてはそれらの変数は例えば$code
,$type
として直接にアクセスすることができます。
エラーが発生した際、error
レベルのメッセージは常に記録されます。
もし PHP の warning か notice によってエラーが発生した場合、メッセージはカテゴリー php
と共に記録されます。
もしエラーがキャッチされていない例外として発生した際、カテゴリーは exception.ExceptionClassName
の様になるでしょう (CHttpException における statusCode もまたカテゴリーに追加されるでしょう)。
このように、ロギング 機能を利用して、アプリケーションの実行の間に起きるエラーをモニターすることが出来ます。
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