Yii が内蔵している エラー・ハンドラ は、エラー処理を従来よりはるかに快適な経験にしてくれます。 具体的には、Yii のエラー・ハンドラはエラー処理をより良くするために、次のことを行います。
エラー・ハンドラ はデフォルトで有効になっています。
アプリケーションの エントリ・スクリプト において、定数 YII_ENABLE_ERROR_HANDLER
を false
と定義することによって、これを無効にすることが出来ます。
エラー・ハンドラ は errorHandler
という名前の アプリケーション・コンポーネント です。
次のように、アプリケーションの構成情報でこれをカスタマイズすることが出来ます。
return [
'components' => [
'errorHandler' => [
'maxSourceLines' => 20,
],
],
];
上記の構成によって、例外ページで表示されるソース・コードの行数は最大で 20 までとなります。
既に述べたように、エラー・ハンドラは致命的でない全ての PHP エラーを捕捉可能な例外に変換します。 これは、次のようなコードを使って PHP エラーを処理することが出来るということを意味します。
use Yii;
use yii\base\ErrorException;
try {
10/0;
} catch (ErrorException $e) {
Yii::warning("0 による除算。");
}
// 実行を継続 ...
リクエストが無効または予期しないものであることをユーザに知らせるエラー・ページを表示したい場合は、 単に yii\web\NotFoundHttpException のような HTTP 例外 を投げるだけで済ませることが出来ます。 そうすれば、エラー・ハンドラがレスポンスの HTTP ステータス・コードを正しく設定し、 適切なエラー・ビューを使ってエラー・メッセージを表示してくれます。
use yii\web\NotFoundHttpException;
throw new NotFoundHttpException();
エラー・ハンドラ は、定数 YII_DEBUG
の値に従って、エラー表示を調整します。
YII_DEBUG
が true
である (デバッグ・モードである) 場合は、エラー・ハンドラは、デバッグがより容易になるように、
例外とともに、詳細なコール・スタック情報とソース・コード行を表示します。
そして、YII_DEBUG
が false
のときは、アプリケーションに関する公開できない情報の開示を防ぐために、エラー・メッセージだけが表示されます。
情報: 例外が yii\base\UserException の子孫である場合は、
YII_DEBUG
の値の如何にかかわらず、コール・スタックは表示されません。 これは、この種の例外はユーザの誤操作によって引き起こされるものであり、 開発者は何も修正する必要がないと考えられるからです。
デフォルトでは、エラー・ハンドラ は二つの ビュー を使ってエラーを表示します。
@yii/views/errorHandler/error.php
: エラーがコール・スタック情報なしで表示されるべき場合に使用されます。
YII_DEBUG
が false
の場合、これが表示される唯一のビューとなります。@yii/views/errorHandler/exception.php
: エラーがコール・スタック情報と共に表示されるべき場合に使用されます。エラー表示をカスタマイズするために、エラー・ハンドラの errorView および exceptionView プロパティを構成して、 自分自身のビューを使用することが出来ます。
エラー表示をカスタマイズするためのもっと良い方法は、専用のエラー アクション を使うことです。
そうするためには、まず、errorHandler
コンポーネントの errorAction
プロパティを次のように構成します。
return [
'components' => [
'errorHandler' => [
'errorAction' => 'site/error',
],
]
];
errorAction プロパティは、アクションへの ルート を値として取ります。
上記の構成は、エラーをコール・スタック情報なしで表示する必要がある場合は、
site/error
アクションが実行されるべきことを記述しています。
site/error
アクションは次のようにして作成することが出来ます。
namespace app\controllers;
use Yii;
use yii\web\Controller;
class SiteController extends Controller
{
public function actions()
{
return [
'error' => [
'class' => 'yii\web\ErrorAction',
],
];
}
}
上記のコードは yii\web\ErrorAction クラスを使って error
アクションを定義しています。
yii\web\ErrorAction クラスは error
という名前のビューを使ってエラーをレンダリングします。
yii\web\ErrorAction を使う以外に、次のようにアクション・メソッドを使って error
アクションを定義することも出来ます。
public function actionError()
{
$exception = Yii::$app->errorHandler->exception;
if ($exception !== null) {
return $this->render('error', ['exception' => $exception]);
}
}
次に views/site/error.php
に配置されるビュー・ファイルを作成しなければなりません。
エラー・アクションが yii\web\ErrorAction として定義されている場合は、このビュー・ファイルの中で次の変数にアクセスすることが出来ます。
name
: エラーの名前。message
: エラー・メッセージ。exception
: 例外オブジェクト。これを通じて、更に有用な情報、例えば、HTTP ステータス・コード、エラー・コード、
エラー・コール・スタックなどにアクセスすることが出来ます。情報: あなたが ベーシック・プロジェクト・テンプレート または アドバンスト・プロジェクト・テンプレート を使っている場合は、 エラー・アクションとエラー・ビューは、既にあなたのために定義されています。
補足: エラー・ハンドラの中でリダイレクトする必要がある場合は、次のようにしてください。
Yii::$app->getResponse()->redirect($url)->send(); return;
エラー・ハンドラは、レスポンス 形式の設定に従ってエラーを表示します。
レスポンス形式 が html
である場合は、直前の項で説明したように、
エラー・ビューまたは例外ビューを使ってエラーを表示します。
その他のレスポンス形式の場合は、エラー・ハンドラは例外の配列表現を yii\web\Response::$data プロパティに代入し、
次に data
プロパティを様々な形式に変換します。
例えば、レスポンス形式が json
である場合は、次のようなレスポンスになります。
HTTP/1.1 404 Not Found
Date: Sun, 02 Mar 2014 05:31:43 GMT
Server: Apache/2.2.26 (Unix) DAV/2 PHP/5.4.20 mod_ssl/2.2.26 OpenSSL/0.9.8y
Transfer-Encoding: chunked
Content-Type: application/json; charset=UTF-8
{
"name": "Not Found Exception",
"message": "リクエストされたリソースは見つかりませんでした。",
"code": 0,
"status": 404
}
エラーのレスポンス形式をカスタマイズするために、アプリケーションの構成情報の中で、
response
コンポーネントの beforeSend
イベントに反応するハンドラを構成することが出来ます。
return [
// ...
'components' => [
'response' => [
'class' => 'yii\web\Response',
'on beforeSend' => function ($event) {
$response = $event->sender;
if ($response->data !== null) {
$response->data = [
'success' => $response->isSuccessful,
'data' => $response->data,
];
$response->statusCode = 200;
}
},
],
],
];
上記のコードは、エラーのレスポンスを以下のようにフォーマットし直すものです。
HTTP/1.1 200 OK
Date: Sun, 02 Mar 2014 05:31:43 GMT
Server: Apache/2.2.26 (Unix) DAV/2 PHP/5.4.20 mod_ssl/2.2.26 OpenSSL/0.9.8y
Transfer-Encoding: chunked
Content-Type: application/json; charset=UTF-8
{
"success": false,
"data": {
"name": "Not Found Exception",
"message": "リクエストされたリソースは見つかりませんでした。",
"code": 0,
"status": 404
}
}
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